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ストレスが記憶の固定化に影響するメカニズム



「記憶と情動の脳科学」から

グルココルチコイドを訓練後に注射すると、記憶の固定化を高めるという証拠が数多くある。このホルモンは、血液脳関門を通過できるので容易に脳に入り、多くの脳部位で神経細胞のグルココルチコイド受容体(他の受容体とは違い、細胞の核に存在する。グルココルチコイドはコルチコステロンなどの総称)を活性化する。

情動がかきたてられたりストレスを受けたりすると、副腎から二種類のストレスホルモンが放出される。ストレスが弱いときは副腎皮質からグルココルチコイドだけが放出される。ストレスが強いときは、それに加え副腎髄質からアドレナリンも放出される。
血流で脳内に運ばれたグルココルチコイドは、脳幹の弧束核扁桃体外側基底核、あるいは大脳皮質で神経細胞に入り込み、グルココルチコイド受容体を活性化させ、記憶の固定化を増強する。
アドレナリン迷走神経の受容体に結合し、迷走神経を興奮させる。迷走神経が脳幹の弧束核の神経細胞を興奮させ、扁桃体内にノルアドレナリンが放出される。扁桃体の受容体にノルアドレナリンが結合すると、グルココルチコイドの作用が強まり、記憶の固定化が促進される。



弱いストレス:
      グルココルチコイド
副腎皮質    →    弧束核扁桃体外側基底核、大脳皮質

強いストレス:
      アドレナリン            ノルアドレナリン
副腎髄質   →  迷走神経 → 弧束核   →    扁桃体
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テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : ストレスホルモン 記憶の固定化 グルココルチコイド アドレナリン ノルアドレナリン 副腎皮質 弧束核 扁桃体 副腎髄質 迷走神経

情動の関連部位



脳の中の「わたし」から

恐怖扁桃体
両側の扁桃体が障害された患者さんは、六つ(幸福、驚き、恐怖怒り悲しみ嫌悪)の顔の表情の画像を分類してもらう課題で、恐怖の表情について特に成績がわるい。しかしテレビ番組で激しいやり取りをしている場面を見ると、怖いと感じる。つまり自分自身に向けられた恐怖についての反応が低下している。

嫌悪前部島皮質
前部島皮質に障害のある患者さんは、嫌悪の表情について特に成績がわるい。しかし自分が嫌悪感を抱くかどうかではなく、このような場面は嫌悪感を催させるかどうかという判断は問題なくできる。他者が嫌悪感を抱くかどうかは正しく評価できるにもかかわらず、自分自身は嫌悪感を感じない。

怒り視床下部
ネコでこの部分を電気刺激すると怒りの反応を示す。刺激を止めると直ちに元に戻る。

悲しみ帯状回底部
健常者を対象とした脳活動計測実験で、関係しているという結果が得られている。

幸福大脳基底核、側坐核
健常者を対象とした脳活動計測実験で、関係しているという結果が得られている。

テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 恐怖 扁桃体 嫌悪 前部島皮質 怒り 視床下部 悲しみ 帯状回底部 幸福 大脳基底核

情動研究における恐怖条件づけ



「エモーショナル・ブレイン」から

情動研究における恐怖条件づけの利点

恐怖は他の情動(驚き、興味、喜び、怒り、嫌気、恥辱、苦悶、悲しみなど)と比べ、下記の点で情動研究の利点を持つと考えられる。

1) 恐怖条件づけには、反応(すくみ、自律神経や内分泌系の励起、痛みの抑制、反射の強化など)を学習することは必要としない。ラットは、条件づけ以前には反応しなかった音に対して、条件づけ以後は反応してすくんでしまうが、条件づけがすくみ方を教えているのではない。すくみは、危険にさらされたラットの生得的行動である。
2) 恐怖条件づけは、新たな環境に対応できるように、進化の過程で獲得した能力の扉を開いて、危険を予告する新たな刺激がきたときに、すぐに危険に反応して確かに役に立つとわかっているやり方を自在に使えるようにする。
3) 条件づけによって恐怖学習は直ちに成立する。一組の条件刺激-無条件刺激(CS-US)の組み合わせでも学習しうる。野生動物には試行錯誤を行って学習する機会はない。
4) 恐怖条件づけの形成は、早いばかりでなく長く続く。実際、一度条件づけされた恐怖は忘れ去られることはほとんどない。

恐怖条件づけにおける脳のメカニズム研究の利点

恐怖について脳のメカニズムを研究する際に用いる手段として、恐怖条件づけを価値のあるものとしている重要な側面の一つは、恐怖反応は特定の刺激と組み合わせられるということである。

1) ひとたび刺激が恐怖学習として確立されてしまえば、それは刺激が起こるたびに恐怖反応の表出につながる。
2) 条件刺激にかかわる既知の感覚系の構成の上に立って、われわれは情動過程の回路を構築し始めることができる(既に特定できている入出力の回路を使用できる)。
3) 条件刺激は脳の最小限のエネルギーで処理されるごく単純な感覚刺激であるので、恐怖の研究に際して多くの認知機能の山(例えば生まれて一度もネコを見たことがないラットでもネコに恐怖を覚える生得的な経路など、現在は臭いがその原因であることが分かっている)を避けて通ることができる。

恐怖の条件づけは、恐怖行動を研究する上で必ずしも唯一の方法というわけではなく、また、「恐怖」という言葉によって関連付けられるすべての現象の有効なモデルというわけではない。にもかかわらず、恐怖の条件づけは強力で、汎用性の高い恐怖行動のモデルであり、脳の経路をたどるときにたいへん有効に用いられている。恐怖条件づけは、恐怖についてのわれわれが知る必要のあることのすべてを明らかにするわけではないが、その出発点としてはすぐれた方法である。

・恐怖条件づけの回路へのアプローチ

(無条件刺激ではなく)恐怖条件づけされた音の条件刺激から恐怖反応への回路を特定するために著者らは以下のようなアプローチを行った。

1) 音とショックで恐怖条件づけを行う。
2) 聴覚皮質に障害を与えても、すくみや血圧の反応の条件づけには何の影響も起こらなかったが、聴覚視床以前を障害すると、恐怖条件づけは完全に妨げられた。

 耳→脳幹の聴覚核(蝸牛核など)→下丘→聴覚視床(内側膝状体)→聴覚皮質

3) トレーサー(追跡指標物質)を聴覚視床へ注入し、聴覚皮質以外に投射される4つの皮質下領域を特定。
4) 4つの領域と聴覚視床との結合をそれぞれ除去したところ、扁桃体で恐怖条件づけが起こらなくなった。
5) トレーサーを扁桃体外側核中心核に注入し、逆向きトレースしたところ、外側核に視床からの線維が達していることがわかった。
6) 外側核を障害すると、恐怖条件づけが妨げられた。
7) 中心核を障害しても、恐怖条件づけが妨げられることは以前から知られていたが、中心核外側核からの直接、または扁桃体の基底核、副基底核経由の投射があり、中心核が反応調節系の窓口となる領域と考えられる。

 聴覚視床→扁桃の外側核→(基底核、副基底核)→中心核→情動反応

・聴覚皮質の役割

聴覚皮質を傷害を与えても、恐怖条件づけは妨げられなかったが、恐怖条件づけに対して聴覚皮質が何の役割も果たしていないわけではない。

1) 2種類の似た音を与え、1つはショックと組になり、もう1つは関係がないことをウサギに学ばせる。
2) 聴覚皮質が障害されると、両方の音(ショックと関係のない音にも)に情動反応を示した。
3) 視床扁桃体路(低位経路)と皮質扁桃体路(高位経路)は、ともに扁桃体外側核で終わっている。

 低位経路:情動刺激→感覚視床  →   扁桃体→情動反応
 高位経路:情動刺激→感覚視床→感覚皮質→扁桃体→情動反応

多分これらの二つの神経路は、条件づけられた恐怖刺激の感覚処理過程を統一し調和的に働かせる上で中核的な働きを担っていると思われる同じ外側核に信号を送っている(上記の実験は高位経路が、恐怖反応の抑制に関わっていると考えられる)。

・状況設定(海馬)による恐怖条件づけ

海馬も恐怖条件づけに対して一定の役割を持っている。

1) ラットを箱に入れて、音を鳴らしたときに小さなショックを何度か与えると、音に対して条件づけされるが、箱に対しても条件づけされる。
2) ラットは箱に入れられたとき、音が鳴らなくても、条件づけされた恐怖反応を起こす。
3) 海馬を損傷したラットは、条件づけされた箱にはほとんど反応しなかった。
4) しかし、音を聞くとすぐに、すくんでしまった。

つまり、海馬に損傷を与えたとき、音刺激によってつくられた(箱への)恐怖反応は選択的に除かれてしまった。

テーマ : 意識・認識・認識論
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 情動研究 恐怖条件づけ 扁桃体 外側核 中心核

情動の本性をめぐる百年来の議論



エモーショナル・ブレイン
「第3章 血と汗と涙」から


・ジェームズのフィードバック理論

刺激(熊) → 反応(走る) → フィードバック → 感情(恐怖)

刺激から感情への連鎖に関する問題へのジェームズの答えは反応からのフィードバックが感情を決定するというものだった。感情が異なると反応も異なるので、脳へのフィードバックも異なり、またそれはジェームズによると特定の状況でわれわれがどのように感じるかを説明する。

・キャノンの緊急反応

キャノンは、すべての情動に同じ自律神経系の応答機構が対応し、また自律神経の応答時間では個々の状況で愛を感じているのか、憎しみか、恐れか、喜びか、怒りか、嫌悪なのかどうかを説明するには遅すぎるとフィードバック理論を批判。

・シャヒターとシンガーの認知的喚起理論

刺激 → 喚起 → 認知 → 感情

シャヒターとシンガーは、フィードバックは、ある状況下でどんな情動を感じているか決定できるほど十分に特異性はないことを、キャノンと同様に受け入れていたが、しかしジェームズのように、それがまだ重要であると思っていた。身体的な喚起からのフィードバックは、何が起こっているのかを正確には示すことができなくとも、何か意味のあることが起こっていることを示す良い指標なのだと彼らは考えた。身体的な喚起に(フィードバックによって)気づくと、まわりの状況を探索するよう動機づけられる。その状況を認知的に査定することによって、われわれはその喚起をラベルする。喚起をラベルすることが、われわれの感じている感情を特定することなのである。シャヒターとシンガーによると、このように認知によって身体的喚起の非特異性と感情の間のギャップが埋められる。


・アーノルドの評価理論

刺激 → 評価 → 行動傾向 → 感情

アーノルドは、刺激が情動的反応や情動的感情を生起するためには、まず脳がその刺激の意味を評価しなくてはならないと論じた。評価によって行動傾向が導かれる。好ましい対象や状況に向かい、嫌なものからは遠ざかる。その感受された傾向が、このモデルで意識的な感情を説明する。評価は意識的でも無意識的でもありうるがその評価のプロセスを意識するのは、それが起こった後である。

・一般用評価モデル

刺激 → 評価 → 感情

アーノルドに続く今日の多くの心理学者は、情動的現象における評価プロセスの重要性を認めているとはいえ、彼らは行動傾向を伴った情動的感情についてのアーノルドの方程式を必ずしも受け入れているわけではない。ここで示した一般用評価モデルは評価が刺激から感情へのギャップを埋めていることを、単に示唆しているだけである。

・ザイアンスの感情優先理論

刺激 → 無意識的感情 → 感情

心理学の大勢に反し、ザイアンスは感情が認知に先行し、それとは別個に生じることを論じた。この仮説は論争の的となり、熱心に議論された。現時点ではっきりしているのは、感情的な処理は意識的に覚醒していなくとも生起しうるが、これは情動と認知が関連するかどうかはまた別である、ということだ。

テーマ : 意識・認識・認識論
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : エモーショナル・ブレイン 情動 感情

やる気と淡蒼球



人間はあきっぽくできているので、脳をだまして「やる気」を出す。
やる気」になっているときに動いているのが「淡蒼球」(だそうです)。

しかし直接淡蒼球にアクセスすることはできないので、
間接的にアクセスし起動するスイッチが、以下の4つ。

運動野   Body(体を動かす)  
海馬    Experience(いつもと違うことをする) 
テグメンタ Reward(ごほうびを与える) 
前頭葉   Ideomotor(なりきる) 

という自己啓発的内容の本でした。結構怪しい。

tag : やる気 淡蒼球

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2013年11月発売
2013年6月発売
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sai

Author:sai
宮城県出身。寅年生まれ。おうし座。B型。左利き。赤緑色盲。たそがれのプログラマー。

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