やさしき動物たち

ネズミは仲間見捨てない(2011年12月9日 読売新聞)

 自分は得するわけでもないのに、困っている仲間を助ける。他人の感情を共有するそんな「共感」の能力をラットも備えていることが、米シカゴ大学チームの実験でわかった。

 実験では、まず、わなの扉を外から頭で押して開けられるようにラットを訓練。そして1匹のラットをわなに閉じこめると、訓練を受けたラットは扉を開けて仲間を救出した。

 わなの外にチョコレートがあるときも、自分が独り占めできなくなるのを承知でラットは扉を開けてやった。


チンパンジー、状況に応じ手助け(2012年2月7日 毎日新聞)

食べ物を分け与えるなどの利他的行動は多くの動物で観察されている。しかし、他者の気持ちを推し量り、その要求に応える心の働きは人間特有と考えられていた。

 グループは透明板で仕切った小部屋A、Bを用意し、道具の受け渡しができる穴を開けた。Aには、ストローで吸うかステッキでたぐり寄せるか、どちらかの方法だけでジュースを飲めるようコップを置き、Bには、ストローやステッキのほか、はけやロープなど不要な物も含め七つの道具を置いた。

 Aのチンパンジーが穴から隣に手を差し入れてBのチンパンジーに助けを求めると、Bは隣室の様子を見て何が必要かを考え、ストローかステッキを手渡した。3組の母子で観察を繰り返すと、約7割で正しい道具を選択した。


類人猿ボノボにも「絆」(2012年3月10日 読売新聞)

 研究チームは昨年9月、地元住民がイノシシなどの捕獲のために設置したわなにかかったボノボのオスを観察。指が針金で締め付けられ、うずくまるオスを、仲間の7頭は毛繕いするなどして見守っていた。

 夕方になると、仲間のボノボは動けないオスを置いて、寝場所の森に帰ってしまったが、翌朝、約1・8キロ・メートル離れた同じ場所に15頭で戻った。そこには、エサはなく、15頭は傷ついた仲間のオスを捜す目的でやってきたらしい。オスは既にわなを付けたまま移動しており、15頭はあきらめて別の場所にエサ探しに出かけた。



私とどちらがやさしいだろうか。

「やさしき動物たち」というと科学者に擬人化として非難されるかもしれない。確かに人間のやさしさと動物たちのやさしさは全く同じものではないかもしれない。またそれは単なる本能であるかもしれない。

しかし様々な感覚・知覚能力、記憶・学習能力、判断、運動能力は、進化的に引き継がれたものであり、やさしさなどの感情も引き継がれたものではないか。また人間のやさしさも先天的(本能)に備わってるのかもしれない。

tag : ラット チンパンジー ボノボ 擬人化

ダンゴムシに心はあるのか


この本で著者は、

  「内なるわたくし」
→ 「日常的なの概念」
→ 「隠れた活動部位
→ 「活動はしているものの、伴われる(意識的、および無意識的)行動の発現を抑制する部位」

と「の実体」を定義している。

また

「未知の状況」における「予想外の行動の発現」こそが、隠れた活動部位としての「の働きの現前」なのです。


とし、ダンゴムシに様々な「未知の状況」を課題とした実験を行い、抑制されていた「予想外の行動の発現」を確認し、それをダンゴムシの働きと解釈している。

面白い仮説ではあるが、私とはの捉え方に違いがありそうだ。
この仮説では「石」にもがあるということになるそうで(「石の心」参照)、根本的に心の定義が広すぎる(過剰)と思われる。

tag : ダンゴムシ 隠れた活動部位 抑制

刺激等価性

 以下のように2つの訓練から、4つの推論が訓練せずに成立することを、刺激等価性が成立したと言える。

訓練1:AならばB
訓練2:BならばC

推論1:BならばA(対称性:訓練1に対する)
推論2:CならばB(対称性:訓練2に対する)
推論3:AならばC(推移性)
推論4:CならばA(等価性)

 これらの推論はヒト以外の動物では、一部の例外を除き成立しない。しかし「AばらばB」の逆(BならばA)は、論理的に真とはならないので、ヒトのみがこのような非論理的推論を行っている。しかしそれゆえに高度な認知機能を獲得したとも予想される。

詳しくは、
言語と思考を生む脳 (シリーズ脳科学 3)



テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 刺激等価性

馴れと潜在制止

馴れ」と「潜在制止」は、その効果の時間幅に違いがあり、それは脳の回路が別ということなのだう。また「馴れ」は無意識的に働くが、「潜在制止」はある程度意識的な処理が必要と思う。

「動物が、環境の中で何らかの刺激の変化を検出すれば、たとえほかの活動を行っていても、動物は その新規な刺激に注目する。この単純な反射を「定位反射」という。
・・・
しかし、いつまでも同じ刺激に対して定位反射が生じるわけではない。どのような生物でも、同じ刺激が何度もやってくれば、やがてその刺激に対して「馴れ」が生じる。
・・・
しかし、馴れはある程度の時間がたてば消失する。つまり、しばらくその刺激を経験しなければ忘れてしまい、また次回に新たな馴れがはじまる。馴れは一時的な役割しか果たさない。そこが、次に述べる潜在制止と異なる点だ。
・・・
無駄な刺激を積極的に無視し、その刺激には重要な事象のイメージを与えないようにする。このように、選択的にフィルターをかけることを「潜在制止」という。その潜在制止は、脊椎動物の中でも脳の皮質が形成されるようになった鳥類や哺乳類にしか観察されない。」

心の輪郭―比較認知科学から見た知性の進化 より

テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 定位反射 馴れ 潜在制止

落ち込む哺乳類

人は希望を達成できなかったり、期待を裏切られたりするとがっかりする。これは哺乳類にはみられる現象であるが、他の脊椎動物には見られない現象らしい。

「空腹のネズミに砂糖水を与えると、カロリーがあるので、空腹なネズミは一生懸命飲むようになる。 32%の砂糖水を与えたグループと4%の砂糖水を与えたグループがあり、濃度の高いグループほど勢いよく飲む。途中から32%のグループの濃度を4%にする。ここで節水回数が減少し、もともと4%の砂糖水を飲んでいたグループよりはるかに低い値になっている。
・・・
学習を通じて形成された期待が崩れたことで、変化した後も甘い水を飲んでいるにもかかわらず、「がっかり」したのだ。
・・・
他の脊椎動物でも、報酬量の違いによって行動は敏感に変化する。したがって、がっかり効果が生じないことを、動物の報酬量の違いを知覚できないせいにすることはできない。それらの動物は、 期待した量を減らしても、「がっかりした」といえるような行動の落ち込みはなく、徐々にその量にみあった行動レベルになるか、あるいはまったく変化しない。」

心の輪郭―比較認知科学から見た知性の進化 より

テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 哺乳類

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sai

Author:sai
宮城県出身。寅年生まれ。おうし座。B型。左利き。赤緑色盲。たそがれのプログラマー。

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