意識を伴う感覚的なアウェアネスに生じる遅延



「マインド・タイム」から

実験方法:
・リベットの友人である神経外科医が、患者の脳に外科治療を行っている間に、リスクがなく、患者にとっても異存がない方法で実行できる実験を行う。
・一次体性感覚皮質の表面に電極接点を設け、電気刺激により被験者に局所的なチクチクした意識感覚を引き起こす。
・主観的に感覚を引き出し始める最低限のレベルの電流の強さで電気刺激を与える。
・一秒間あたり20パルスから60パルスの範囲で反復する。

実験結果:
閾値レベルの微弱な感覚を引き出すには、反復的な刺激パルスを約500ミリ秒間継続する必要がある。
・この閾値の強度でパルスを例えば5秒から徐々に短縮すると、被験者が報告する意識感覚の長さも短縮した。
・連発時間が短くても(500ミリ秒以下)、パルスの強度が十分に上がっていれば意識感覚を引き出すことができる。
・一秒間あたり30パルスでも60パルスでも、意識感覚を引き出すために必要な最小限の連発持続時間が500ミリ秒であった(ただし60パルスの場合は、より弱い電流で意識感覚が引き出せる)。
・視床や内側毛帯でも、電極刺激によって意識感覚を生み出すのに必要な時間的条件は、感覚皮質への刺激の場合と同じ。

 皮膚・関節・筋肉→脊髄→延髄→内側毛帯→視床→一次体性感覚皮質

・しかし、皮膚への単発の微弱な電気パルスからでさえ、意識感覚は生じる。
初期EP(誘発電位)は皮質刺激では生じないが、下(例えば内側毛帯など)からの感覚経路を通って皮質に伝えられる入力によって生じる。
・しかし初期EPの単発のパルスは、主観的な感覚を引き起こさない。
・感覚皮質に連続した刺激パルスを500ミリ秒間反復し、その後皮膚に単発のパルスを与え、どちらの刺激が先だったかを被験者に答えてもらう。感覚皮質刺激の開始後500ミリ秒に皮膚にパルスを与えた場合、被験者は同時と感じ、感覚皮質刺激の開始後500ミリ秒より前に皮膚にパルスを与えた場合は、皮膚で生じる感覚が先であると感じた。
・同様に内側毛帯に連続した刺激パルスを500ミリ秒間反復し、その後皮膚に単発のパルスを与え、どちらの刺激が先だったかを被験者に答えてもらう。感覚皮質刺激の開始と同時に皮膚にパルスを与えた場合、被験者は同時と感じた。

リベットの仮説:
皮膚刺激のアウェアネスは、おおよそ500ミリ秒間の適切な脳の活動が終わるまで、事実上遅延する。しかしながらそこで、初期EP反応の時点にまで遡る、感覚経験の主観的な時間遡及が起こる。
皮膚に誘発された感覚は、その感覚経験を引き出すニューロンにとって適切な状態となるために必要な500ミリ秒後まで実際に現れないにもかかわらず、遅延が無かったかのように主観的には現れる。

初期EP単発パルス500ミリ秒
皮膚あり感覚あり  感覚あり  
内側毛帯あり感覚なし  感覚あり  
感覚皮質なし感覚なし  感覚あり  
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テーマ : 意識・認識・認識論
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : ベンジャミン・リベット アウェアネス 初期EP

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宮城県出身。寅年生まれ。おうし座。B型。左利き。赤緑色盲。たそがれのプログラマー。

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