扁桃体でのLTPと記憶の関係


ジョセフ・ルドゥー著「シナプスが人格をつくる」からの抜粋


 LTP記憶に同じ分子が関係していることを示すさまざまな知見は、学習の際にLTPが起こるという見方に一致する。しかし反対者たちが指摘するように、この証拠は状況証拠だ。
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 私自身も長い間、LTPについてどっちつかずの気持ちだった。
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私を最終的に改宗させたのは、私の研究室でマイケル・ローガンが博士論文のためにおこなった研究だった。いまや私は布教する側になった。
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ローガンは恐怖条件付けについて関係するとわかっている回路からスタートし、それからその回路でLTPが起こるかどうかを調べた。
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 私の研究室ではラットの恐怖条件付けの解剖学的側面を研究しており、ある音がショックと関連付けられて不快な特質を獲得するには、その音が視床聴覚領域から扁桃体外側核に伝えられなくてはならないことを証明していた。そしてさっき言ったように、同じ経路にLTPを誘発できることも発見していた。
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彼は高頻度の電気刺激を用いる通常のやり方でLTPを誘発した。しかし、LTPをテストする方法にひと工夫した。神経線維に弱い電気刺激を加えるかわりに自然な刺激(この場合は音)を使ったのだ。ローガンの実験結果は、音が扁桃体に伝えられる経路でLTPが誘発されると、扁桃体のその音に対する反応が強化されることを示していた。
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そこでローガンは二つ目の研究では、LTPを誘発する代わりに恐怖条件付けをした。数年前にリズ・マロンスキーが扁桃体外側核に、音とショックの両方に情報を受け取る細胞があることを示し、そういう細胞が入力の同時性を検知している可能性があることを示していた。そういうわけで、ショックによる恐怖条件付けが、音の刺激に対する扁桃体外側核の反応を変えるかもしれないという考えは筋が通ったものに思われた。実際、ローガンの実験結果は、恐怖条件付けとLTP誘発が、音の刺激に対する扁桃体の電気的反応に、非常に似通った変化をもたらすことを示した。言いかえると、恐怖条件付けによってLTPが誘発されるように思われた。
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LTPと記憶のギャップを閉じるのに、恐怖条件付けは空間的学習をはじめとする海馬依存課題以上の成果をもたらした。
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海馬の回路設計はよく知られているが、学習課題が複雑であるため、学習と海馬の特定の回路との関係を見定めるのは難しい。
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恐怖条件付けでは、強い刺激(ショック)と弱い刺激(音)が同じ細胞のシナプスで相互作用しているのだ。


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tag : 扁桃体 LTP 記憶 恐怖条件付け

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