系列運動の学習における視覚座標と身体座標



「運動と言語 (認知科学の新展開 3) 」
--- 2 系列運動の脳内表現と学習のアルゴリズム --- から

系列運動の学習の実験手順:
1) 4×4のLED付きボタンのうち2つが点灯し、正しい押し順(試行錯誤で見つける)の場合、報酬がサルに与えられる
2) 上記を5セット実行し、成功報酬(ジュース)は徐々に増える
3) 途中一度でも失敗すると始めからやり直し
4) 約10個の特定の系列を毎日学習するのに加え、日々ランダムに生成された新たな系列を学習

系列運動の学習には、短期の成分と長期の成分がある。正しい順番で押すという学習は数十試行のうちに起こり、素早く押すという学習は数週間から数ヶ月程度にかけてゆっくり進む
・長期にわたる学習後の手の動きは、単に2つのボタンが呈示されたらそのうち1つを選ぶというものではなく、10個のボタンを一連の動きとして行っているようである
・個々のセットの押し順は同じでも、5セットの順番を逆にすると、まったく新たな系列と同じくらいエラーが増える
・左右の手で別々の系列を学習させた後、左右逆転した場合、まったく新しい系列ほどではないがエラーが増加する
・大脳基底核の前方部とそこにつながる大脳皮質の抑制では、新しい系列の学習が阻害され、大脳基底核の中後方部とそこにつながる大脳皮質の抑制では、習熟した系列の学習が阻害された

実験結果から予測される仮説:

2×5課題のような、視覚呈示による運動系列の学習には、大きく分けて2種類の表現を用いることができる。1つは、押すべきボタンの視覚空間における位置の系列としての視覚座標表現であり、もう1つは、ボタン押しに必要な関節角など体性感覚情報の系列としての身体座標表現である。そして、視覚座標を用いた系列表現は、主にDLPFループ(背側前頭前野-大脳基底核前方部)で学習され、身体座標を用いた系列表現は、主にSMAループ(補足運動野-大脳基底核中後方部)で学習される。さらに、学習初期には、視覚座標を用いた系列表現がまず学習され長期の学習の後には、身体座標を用いた系列表現が学習されることにより、素早い運動の実行が可能になる。

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テーマ : 意識・認識・認識論
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 系列運動学習 視覚座標 身体座標 DLPFループ SMAループ

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宮城県出身。寅年生まれ。おうし座。B型。左利き。赤緑色盲。たそがれのプログラマー。

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