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一次感覚野の2つのピーク

“感じる脳”のメカニズムを解明
-皮膚感覚を司る神経回路の発見-


概要
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従来の仮説 - 外因性のボトムアップ入力と内因性のトップダウン入力の連合で皮膚感覚は知覚される

皮膚感覚の情報は、従来の仮説では、外界の情報に由来する外因性のボトムアップ入力と、注意や予測といった内因性のトップダウン入力とが脳のある領域で連合することで、皮膚感覚は知覚されると言われてきた。この仮説が正しければ、「注意して物を触らなければ何も感じない」ことになる。


自動的にフィードバックされる反響回路の発見

マウスが皮膚感覚を識別する課題を行っている最中の行動を解析した結果、内因性トップダウン入力と外因性ボトムアップ入力が同じタイミングで連合する神経活動は観察されなかった。一方で、皮膚感覚の情報が外因性ボトムアップ入力として第一体性感覚野(S1)から高次脳領域に送られた後、再びS1へ「外因性のトップダウン入力」として自動的にフィードバックされる反響回路を発見した。
マウスの後肢を刺激すると、まず後肢に対応したS1の領域が活性化し、その後、第二運動野(M2)が活性化した。次に神経活動を抑える薬をS1またはM2にそれぞれ投与し、S1を抑制した場合はM2 の活動が、逆にM2を抑制した場合はS1の遅い活動(遅発性神経活動)が抑制された。これらの結果は、後肢からの情報はS1→M2→S1と流れることを示す。


第一体性感覚野(S1)の2つのピーク

S1における神経活動を皮質の全1-6層から記録したところ、全ての層において早発性神経活動と遅発性神経活動の2つのピークが記録された。一方、M2からの神経活動の記録では、1つのピークが観察された。そのピークは、S1で観察された早発性神経活動と遅発性神経活動の間で見られた。
また、全6層のうち5層での遅発性神経活動が特に活発であることが分かった。これは、樹状突起が他細胞からの情報を受容し統合する役割を持つことから、全6層のうち最も長い樹状突起を持つ5層神経細胞では、より多くの情報を、より長い時間統合することが可能なためと考えられる。


外因性トップダウン入力が皮膚感覚の知覚に必須

国際共同研究グループは、光遺伝学的手法によりM2からS1への外因性トップダウン入力を特異的に抑制し、マウスの皮膚感覚の知覚における外因性トップダウン入力の役割を調べた。具体的には、マウスに対して皮膚感覚を手掛かりとする2種類の床面の識別する行動課題を行った。

課題1)
・四角い箱の床面に紙やすり(ザラザラ)と、それを裏返した面(ツルツル)を半分ずつ敷き、その箱の中にマウスを置いた。
・マウスの脳には小型光刺激装置を設置し、外因性トップダウン入力を光刺激で抑制できるようにした。
・マウスはザラザラ、ツルツルの床面のどちらか一方を好む傾向があり、光刺激をしないマウス群では、どちらかに滞在時間が偏った。
・光刺激をしたマウス群では、その偏りが減少した。

課題2)
・Y字迷路の分岐点の手前の床面で、ザラザラなら右方向、ツルツルなら左方向に進むよう訓練した後、光刺激の有無が正解率に与える影響を調べた。
・光刺激をしないマウスは約80%の正解率を示したが、光刺激をしたマウスの正解率は約65%まで減少した。

以上のことから、M2からS1への外因性トップダウン入力が、正常な皮膚感覚の知覚に必須であることが分かった。
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視覚に関しても2つのピークがあり、2つ目を抑制すると知覚できないことが知られている。
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視覚刺激を呈示してから30ミリ秒後にまず一次視覚野が活動し、頭頂葉、側頭葉、前頭葉などに伝わった後、100ミリ秒後に一次視覚野に戻ってくる。このタイミングで一次視覚野の活動をブロックすると視覚刺激が見えなくなる。
-------------- 「心の脳科学」から --------------------------------- 


しかし、どうして信号が戻ってきたら、主観的に体験する意識が成立するのかについては明らかになっていないそうである。
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tag : 皮膚感覚 S1 M2 反響回路

顔文字と紡錘状回

「ツ」が中東で顔文字に使われているとネットで話題に!


カタカナの「ツ」が、エジプトやサウジアラビアなど中東で顔文字として流行っているらしいと話題になっています。確かにツイッターなどの画像を見ると、アラビア文字に混じって「ツ」の文字が! んん?? と思うかもしれませんが、よく見ると点が目、「ノ」の部分が口で、笑っている顔のように。
 ̄\_(ツ)_/ ̄ などのポーズも見られます。


     (ツ)

そういわれると、顔のように見えてきますね。


ちなみに「Д」は、ロシアなどで用いられるキリル文字。
顔文字では、

(;´Д`)
(゚Д゚)ハァ?

などの口の形に用いられています。


まっ、日本人も勝手にやってますが。


脳は「顔文字」を、実際の顔と同様に認識

われわれの脳は顔文字に対して、実際の顔を見たときと同様に反応していることが研究で明らかになった。文化がつくりだした神経反応だという。
現在の米国で主流となっている「横向きの笑顔」の顔文字は、1982年に考案されたものだ。その前から、活字による各種の顔文字や、1960年代に考案され、定番となっている、黄色の丸にふたつの目とひとつの口が笑っているスマイリーフェイスなどが登場していた。

いまではほとんどの米国人が、「:)」を笑顔だと瞬時に認識する。ただし、この反応は生来のものではなく、どちらかといえば学習によるものだ。


     :)

これも、そう言われれば顔に見えてくる。

さらに、すべての笑顔文字が同じというわけでもない。研究では、神経反応は、人々が最も一般的な笑顔文字を見ている場合とそうではない場合とで大きく変化したとしている。従来からある「:)」や「:-)」では、実際の顔の処理に使われるものと同じ顔固有のメカニズムが作動したが、標準ではない「(-:」では作動しなかったのだ。

この研究を行った豪フリンダーズ大学のオーエン・チャーチズ博士は、オーストラリア放送協会(ABC)に対して次のように述べている。「赤ん坊が生まれながらにして持つような、顔文字に対する生来の神経反応は存在しない。1982年よりも前には、『:-)』によって大脳皮質の顔認知領域が作動する根拠はなかった。それが作動するようになったのは、この記号が顔を表すことをわれわれが学習したからだ。これは、完全に文化がつくりだした神経反応だ。実に驚くべきことだ」


なにが「実に驚くべきこと」なのか、私には理解できない。


紡錘状回(顔領域)への2つの入力経路

 顔画像を見ているときに、側頭葉底部の一部分が強く活動し、そこは「紡錘状回」と呼ばれる顔領域が存在する。そこに障害があると「相貌失認」(声を聞けば誰かわかるが、顔を見ても認識できない)という症状が出る。

 顔を想像した場合にも紡錘状回は同じように活動するが、注意に関係する前頭葉や、記憶に関係する海馬からも信号が送られくる。また線画による顔の絵やニコちゃんマークを見ても、この顔領域は活動する。その内側にある海馬傍回には、風景や建物を見ているときに活動する建物領域が存在する。


確かに顔の絵を見ても紡錘状回は活動する。しかし

 顔領域の活動は顔の外見だけでなく、むしろその被験者がその顔をどのように認識するか、すなわち主観的な顔のアイデンティティーを反映している。この「もの」のカテゴリー特異的な脳活動が、その「もの」自体によって規定されているのではなく、その「もの」が何であるかを認識する主観によって左右されている。つまり外界からの情報を一次視覚野を経由して受け取る領域と、心の内面を表した情報を前頭葉や海馬などから受け取る経路のふたつが、顔領域への入力として存在することを意味している。

 また文字が読めてその意味を理解できるようになってはじめて、文字領域が活動するという事実から、脳の視覚領域は外界から得られた情報を受身で反応しているのではなく、過去に得られた視覚情報についての情報を統合した上で、現在の視覚情報を分析している。

 脳の視覚領域には、外界を自己の内部に表象する役割だけでなく、自分の経験や意図に基づいて外界を解釈する役割もある。


標準ではない「(-:」を顔文字とした認識が、海馬に存在しないだけだと思われる。
豪フリンダーズ大学の博士は、前頭葉や海馬などからの経路を知らないのであろうか。


関連記事:
紡錘状回(顔領域)への2つの入力経路

tag : 顔文字 紡錘状回

「脳波停止の後」に残る意識

「脳波停止の後」に残る意識:蘇生医療の最前線から

人が死ぬと、血液の脳への流入がなくなります。血液の流入が一定のレベルを下回ると、電気活動は生じ得ません。


にもかかわらず

死の直前に、あるいは意識を回復した直後に認識したことを間違えて認識したのではないかという考え方は、心停止中に起きたことをとても詳しく説明する人がたくさんいる事実に反します。そうした人たちは、周囲で交わされた会話や、人々が着ていた服装、蘇生法開始から10~20分間の出来事などを描写します。脳活動が平坦であるにもかかわらずです。


つまり

このような観察から、脳と心の相互作用に関する現在の概念に疑問が生じます。従来の考え方は、脳内の電気化学的なプロセスが意識につながっているというものです。死後に電気化学プロセスが起きないことは証明ができるので、この考え方はもう正確ではないのかもしれません。

脳の中には、われわれが発見していない、意識を説明する何かがあるのかもしれません。あるいは、意識は脳とは別個の存在なのかもしれません。



まとめると、
・血液の流入が一定のレベルを下回ると、脳内の電気化学的なプロセスは起きない。
・血液の流入が一定のレベルを下回っていても、その間の記憶(意識)がある人が存在する。
・脳内の電気化学的なプロセスでは、意識を説明できない。

この見解には、どこかに落とし穴がある気がする。
本当に「血液の流入が一定のレベルを下回ると、脳内の電気化学的なプロセスは起きない」のだろうか。

tag : 脳波 意識

意識と注意と視床枕

 視床枕は、哺乳類だけが持ち、ヒトなど高等になるほど大きい。チームは、サルに多数の赤と緑の丸い図が動く映像を見せ、視床枕の活動を測定した。動きがあいまいになるほどサルの判別能力が落ち、視床枕の神経細胞の活動も鈍くなった。



「ヒトの大脳皮質でとくに発達した4領域」という記事で、1)下頭頂小葉、2)ブローカ野およびウェルニッケ野、3)前頭極部、4)前部帯状回と紹介したが、視床枕も発達したらしい。

 視覚情報は、大脳の表面にある大脳皮質が受け取っていることは知られていた。一方、大脳皮質が傷ついても何かが存在すると捉えられる「盲視(もうし)」という障害や、大脳皮質に異常がなくても視床枕の片方を損傷した人が視野の半分を認識できない現象が知られていた。

 チームは実験結果などから、視覚情報の処理は、いったん大脳皮質が情報を受け取り、その情報を視床枕が処理することによって「分かった」と意識する2段階の仕組みになっていると結論づけた。



以上「視覚情報:大脳皮質で受け視床枕で処理…産総研で解明」からの引用

視床枕は注意の補足に関わっていることは示唆されており(「選択的注意と視覚的意識」)、今後の研究に注目したい。

tag : 意識 注意 視床枕 盲視

幻肢痛と神経回路の「つなぎ換え」

末梢神経損傷後に生じる脳の中の神経回路の「つなぎ換え」機構を解明

交通事故などにより手足を切断した患者(年間5000人)の50~80%は、失った手足があたかも存在するように感じ、激しく痛む病態「幻肢痛」に悩まされます。


幻肢痛というと「Dr.コトー診療所」でも取り上げられていたが、そんなに高い割合とは知らなかった。

・・・マウスの髭の感覚神経を完全切断して、髭の入力を失った視床のニューロンでの神経回路の変化を詳細に解析しました。・・・視床のニューロンに入力している内側毛帯線維のみを選別して、その入力本数と感覚情報の受け渡し方(情報伝達様式)を詳細に解析しました。実験の結果から、通常の視床のニューロンは1本の内側毛帯線維から入力を受けますが、切断した動物では、予想よりはるかに早く切断後6日目には新たな複数本の線維から入力を受けるようになり、視床の神経回路の配線が早期から大きく「つなぎ換え」られることが分かりました。損傷前に存在していた神経配線は損傷後1週間以内に弱くなり、それを補うように新たな内側毛帯線維が視床のニューロンにシナプスを形成することも分かりました。さらに、新しくできたシナプスには、発達期でのみ観察されるGluA2という神経伝達物質受容体が発現しており、「若い」性質を持つことも分かりました。感覚情報の伝え方も、成体に比べて時間的に遅い性質を持つことが分かりました。

・・・近年、損傷早期にスパインなどのニューロンの微細構造レベルで変化することが報告されていましたが、神経回路のレベルにおいても大規模な配線換えが、今までの学説を覆しはるかに早い時期に起きていることが今回の研究ではじめて明らかになりました。



 これまでの仮説では、幻肢痛に関して神経回路自体が換わるのには数年かかると考えられてきましたが、今回の結果から、損傷後わずか1週間以内にまもなく新しい配線ができはじめ、つなぎ換えが始まることが明らかになりました。成体の脳内でこのような早さで神経回路が変化するという発見は、これまでの学説を覆すものです。この変化がいつまで続くのか現時点では明らかではありませんが、神経回路の変化が終わって安定してしまった後に、治療によって再度正常な状態に戻すことはやはり難しいと考えられます。現在、国内では幻肢痛のリハビリ治療は積極的に行われてはおらず、治療実施施設はごくわずかしかありません。治療自体も、幻肢痛が発症し、患者の訴えが強くなってから行われていました。しかし、この結果を踏まえると、できるだけ早期、幻肢痛の発症以前から、発症そのものの抑制を目的とした治療を開始することが望ましいと考えられます。











幻肢痛の治療といえば、右の本でラマチャンドランが解説しているミラーボックスが有名だが、この実験により治療の時期や方法は見直されることだろう。

tag : 幻肢痛 GluA2 ラマチャンドラン

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Author:sai
宮城県出身。寅年生まれ。おうし座。B型。左利き。赤緑色盲。たそがれのプログラマー。

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