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IBM奇跡の"ワトソン"プロジェクト

アメリカのクイズ番組Jeopardy!に挑戦したIBMワトソン
その奮闘ぶりを書いたものが本になった。





巻末の解説から以下のようなシステムになっているそうである。


 入力(部門名+ヒント) ← テキスト入力
  ↓
 ヒントの解析
  ↓
 答え候補の列挙(検索) ⇔ 情報源
  ↓
 根拠の探索(マッチング) ⇔ 情報源
  ↓
 確信度の計算 ← 統計モデル ← 過去データ(過去問)
  ↓
 出力(解答+確信度)


1) ヒントの解析

ヒントの英文を構文解析して、答えるべきものの型を示すLAT(Lexical Answer Type)を求める。

2) 答え候補の列挙

ヒントの中にある単語やフレーズと一緒に現れやすい語を、情報源(新聞記事、百科事典、シソーラス辞書、ブログ記事、聖書…)の文書の中から探して、数十個か数百個を挙げる。

3) 根拠の探索(研究者が最も力を入れた)

ヒントの文の中のLATを答え候補で置き換えたものと同様の意味を持つ記述が情報源にどれだけ見つかるかを検証する。
単語の一致を見るだけでなく、表記方法は違えど同じ意味を持つ言語現象をマッチングさせる。

4) 確信度の計算

どのような根拠が見つかれば正解である可能性が増すかを、過去のJeopardy!のヒントと解答から統計的手法を用いて、自動的に傾向を学習させる。

5) 出力(解答+確信度)

一定以上の高い確信度を持つ答えが見つかった時に、Watsonはボタンを押して回答する。


たった4年で人間のチャンピオンに勝つほどに成長させたIBMの研究員に敬意を表する。
ただ人間のチャンピオンに言わせると、勝敗の鍵は「早押し」で、単なる正解率ならば負けなかったとも。


また医療用に転用する計画も具体化してきたようでる。

クイズ王コンピューターWATSON 「Doctor」に転身

「米IBMが4年がかりで開発したスーパーコンピューター「ワトソン」が医師のアドバイザーを務めることになった。IBMと米医療保険大手ウェルポイントが12日、ワトソンを使って、患者のデータから治療法を提示するアプリケーションを開発すると発表した。ワトソンの商用アプリは初めて。米国のクイズ王を破ったワトソンが、ついに“ドクター”になる。(SANKEI EXPRESS)」


これが成功するしないが、今後の人工知能開発の行方に大きな影響を及ぼすと考えられる。

関連記事:
ワトソンの勝利
IBMの「DeepQA」システム コードネームwatson
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tag : IBM Watson ワトソン 人工知能 Jeopardy! ジョパディ

行為を促す意図



「マインド・タイム」から

リベットの仮説:
自発的な活動に結びつく特定の脳活動が、行為を促す意志の前(約350ミリ秒)に始まっている。

実験方法:
・実際に活性化される筋肉にあらかじめ記録電極を装着しておく(筋電図)。
自発的な行為のたびに毎回発生する準備電位RPを記録するために、適切な電極を頭に装着しておく。
・被験者は、自由で自発的な行為として、単純だが急激な手首の屈曲運動を、やりたいときにいつでも行ってよいと指示する。
・また、被験者はいつ行動するかあらかじめ考えずに、むしろ行為が「ひとりでに」現れるがままにさせるように指示する。
・2.56秒で一周する時計を見てもらい、自分の動きを促す意図や願望への最初のアウェアネス(W)を、「時計針(実際は光の点)の位置」と結びつけて覚えるように指示する。
・被験者が時計をどれだけ正確に使っているかを検証するために、微弱な皮膚刺激を手に与え、皮膚感覚があったとき(S)の「時計針の位置」も別途報告してもらう。

結果:
・報告されたS時点は、実際に刺激が与えられた時点よりも約マイナス50ミリ秒(つまり、早い)であることが確認された。
RPの始動の平均は、筋肉の活性化するよりも550ミリ秒前であった(実際の脳内でのプロセスの起動は、私たちが記録したRP(補足運動野が発信源と考えられる)よりも先に始まっている。その未知の領域にあるRPが、大脳皮質の補足運動野を活性化するものと考えられる)。
・行動を起こそうとする願望への最初のアウェアネスの時点を示すW値は、実験を平均するとマイナス200ミリ秒であった(この時間はS(皮膚刺激)実験で見出されたマイナス50ミリ秒の報告エラーを引いて、マイナス150ミリ秒と訂正できる)。
RPの始動から350(=550-200)~400(=550-150)ミリ秒程度あとに行為を促す衝動または願望に意識的に気づく

 RP(-550ms)⇒W(-200ms)⇒S(-50ms)⇒筋肉の活動(0ms)

リベットの考察:
自発的な行為に繋がるプロセスは、行為を促す意識を伴った意志が現れるずっと前に脳で無意識に起動する。
もし自由意志というものがあるとしても、自由意志が自発的な行為を起動しているもではないことを意味している。
・意識的な意志(W)は、脳活動(RP)の始動より最低でも400ミリ秒遅れて後に続くとはいうものの、運動活動の150ミリ秒前には現れる。意識的な意志にもし役割があるということなら、自発的な行為の生成プロセスの最終成果に影響を与えたり、制御したりする可能性がある
・「今、動こう」とするプロセスが少しでも現れる前に、意識を伴いながら思考し計画することによって行為の選択を検討するという脳の性質は、まだ解明されていない。

関連記事:
タイム-オン(持続時間)理論
意識を伴う感覚的なアウェアネスに生じる遅延

テーマ : 意識・認識・認識論
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 準備電位 RP 自由意志 ベンジャミン・リベット アウェアネス

タイム-オン(持続時間)理論



「マインド・タイム」から

タイム-オン理論の2つのシンプルな主張:

1) 意識(アウェアネス)を伴う感覚経験を生み出すには、(その感覚事象が閾値に近い場合)適切な脳活動が最低でも約500ミリ秒間持続していなければならない。

    (「意識を伴う感覚的なアウェアネスに生じる遅延」参照)

2) したがって、この同じ脳活動の持続時間アウェアネスに必要な持続時間よりも短い場合でも、この脳活動にはアウェアネスのない無意識の精神機能を生み出す働きがある。すると、無意識機能の適切な脳活動の持続時間タイム-オン)を単に長くさえすれば、意識機能に変わる。

実証的検証:

・視床の感覚上行路へ連発刺激を与える(神経細胞活動のタイム-オンの長さを制御することができる)。
・1秒間に72パルスの連発刺激を、持続時間は0(刺激なし)から約750ミリ秒の範囲でランダムに試行ごとに変える。
・被験者は、最初に1秒間点灯するライト(L1)か、続けて1秒間点灯するライト(L2)のどちらの期間に刺激かあったかを強制的に(アウェアネスがなくても)回答する。

結果:

持続時間は0(刺激なし)の場合、正答率50%。
・14~150ミリ秒(1~10パルス)では、正答率は明らかに50%を超えていた。
・150~260ミリ秒では、正答率75%。
・正解したがアウェアネスがない場合よりも、正解し最小限のアウェアネスがあった場合では、400ミリ秒間刺激持続時間の延長が必要だった。



タイム-オン理論はどのように私たちの精神機能に影響を与えるか?

1) すべての意識を伴う精神事象が実際には無意識に始まっている

2) 発声すること、話をすること、そして文章を書くことは、同じカテゴリに属する。

3) ピアノやバイオリンなどの楽器の演奏または歌唱も、同様の、行為の無意識のパフォーマンスの働きよるものに違いない。

4) 感覚信号に対する迅速な行動、すなわち運動反応は、すべて無意識に行われる。

5) 無意識の精神機能がより持続時間の短いニューロン活動によって生み出されている場合、その精神機能はより速いスピードで進行することができる。信号へのアウェアネスがなくても信号の検出と選択反応を強制する私たちの実験から判断すると、無意識機能での神経活動の有効なタイム-オンは、約100ミリ秒以下と極めて短い可能性がある。

6) 意識経験が現れる場合、中途半端を許さない(オール・オア・ナッシングの)性質がある。500ミリ秒間フルに活動が持続した場合にだけ、閾値のアウェアネスはいわば突然浮かび上がる

7) 継続した意識の流れについて人々がよく知っている概念というのは、意識的なアウェアネスのタイム-オンの必要条件と矛盾する。意識を伴う思考プロセスには非連続的な独立した事象が含まれていなければならないことを、私たちの証拠は示している。私たちの一連の思考のスムーズな流れという主観的な感情は、異なる精神事象がオーバーラップしているということで、おそらく説明がつく。

8) 意識経験のタイム-オンの必要条件は、どの時点においても意識経験を制限する「フィルター機能」の機能を果たすことができる。1秒間につき何千回も脳に到達する感覚入力のうち、意識的なアウェアネスを生み出すことができるものはほとんどないことは明らかである。おそらく注意のメカニズムが、与えられた選択された反応を、アウェアネスを引き出すために十分長い時間持続させる

9) 信号の無意識の検出は、意識を伴う信号のアウェアネスとは明確に区別しなければならない。

10) サブリミナル知覚、つまりサブリミナル(閾下)の刺激に対して意識的な自覚が本人にない場合でも、そのサブリミナル刺激を無意識に知覚できる可能性が明かにある。

11) タイム-オン理論は、無意識および意識機能はどちらも同じ脳の領域の同じニューロン群によって、媒介されていることを示唆する。もし、2つの機能間の移行が単に、アウェアネスを生み出す類似した神経細胞活動の長い持続時間によって生じるのであるならば、それぞれについて異なるニューロンの存在を仮定する必要はなくなる。

12) 意識経験内容の変容は重要なプロセスであると、心理学と精神医学の立場から認められている。自分がイメージを歪めているということに気づいていないし、そのプロセスも無意識のものであるようだ。感覚イメージをただちに意識できるとすると、意識的イメージを無意識に変容できる機会はなくなる。意識を伴う感覚アウェアネスが現れるまでの時間間隔の間に、脳のパターンがイメージを検出し、意識経験が現れる前に内容を修正する活動が生じることによって、反応することができる。

テーマ : 意識・認識・認識論
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : タイム-オン 持続時間 ベンジャミン・リベット アウェアネス

意識を伴う感覚的なアウェアネスに生じる遅延



「マインド・タイム」から

実験方法:
・リベットの友人である神経外科医が、患者の脳に外科治療を行っている間に、リスクがなく、患者にとっても異存がない方法で実行できる実験を行う。
・一次体性感覚皮質の表面に電極接点を設け、電気刺激により被験者に局所的なチクチクした意識感覚を引き起こす。
・主観的に感覚を引き出し始める最低限のレベルの電流の強さで電気刺激を与える。
・一秒間あたり20パルスから60パルスの範囲で反復する。

実験結果:
閾値レベルの微弱な感覚を引き出すには、反復的な刺激パルスを約500ミリ秒間継続する必要がある。
・この閾値の強度でパルスを例えば5秒から徐々に短縮すると、被験者が報告する意識感覚の長さも短縮した。
・連発時間が短くても(500ミリ秒以下)、パルスの強度が十分に上がっていれば意識感覚を引き出すことができる。
・一秒間あたり30パルスでも60パルスでも、意識感覚を引き出すために必要な最小限の連発持続時間が500ミリ秒であった(ただし60パルスの場合は、より弱い電流で意識感覚が引き出せる)。
・視床や内側毛帯でも、電極刺激によって意識感覚を生み出すのに必要な時間的条件は、感覚皮質への刺激の場合と同じ。

 皮膚・関節・筋肉→脊髄→延髄→内側毛帯→視床→一次体性感覚皮質

・しかし、皮膚への単発の微弱な電気パルスからでさえ、意識感覚は生じる。
初期EP(誘発電位)は皮質刺激では生じないが、下(例えば内側毛帯など)からの感覚経路を通って皮質に伝えられる入力によって生じる。
・しかし初期EPの単発のパルスは、主観的な感覚を引き起こさない。
・感覚皮質に連続した刺激パルスを500ミリ秒間反復し、その後皮膚に単発のパルスを与え、どちらの刺激が先だったかを被験者に答えてもらう。感覚皮質刺激の開始後500ミリ秒に皮膚にパルスを与えた場合、被験者は同時と感じ、感覚皮質刺激の開始後500ミリ秒より前に皮膚にパルスを与えた場合は、皮膚で生じる感覚が先であると感じた。
・同様に内側毛帯に連続した刺激パルスを500ミリ秒間反復し、その後皮膚に単発のパルスを与え、どちらの刺激が先だったかを被験者に答えてもらう。感覚皮質刺激の開始と同時に皮膚にパルスを与えた場合、被験者は同時と感じた。

リベットの仮説:
皮膚刺激のアウェアネスは、おおよそ500ミリ秒間の適切な脳の活動が終わるまで、事実上遅延する。しかしながらそこで、初期EP反応の時点にまで遡る、感覚経験の主観的な時間遡及が起こる。
皮膚に誘発された感覚は、その感覚経験を引き出すニューロンにとって適切な状態となるために必要な500ミリ秒後まで実際に現れないにもかかわらず、遅延が無かったかのように主観的には現れる。

初期EP単発パルス500ミリ秒
皮膚あり感覚あり  感覚あり  
内側毛帯あり感覚なし  感覚あり  
感覚皮質なし感覚なし  感覚あり  

テーマ : 意識・認識・認識論
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : ベンジャミン・リベット アウェアネス 初期EP

加齢と展望的記憶



「記憶の心理学」から

展望的記憶の実験室内での人工的な課題を用いた実験として、アインシュタイン・パラダイムがある。パソコンの前に座って、単語の記憶課題を行ってもらう際に、画面に特定の単語が表示されたらパソコンの特定のキーを押すように指示をしておく、というものである。最初の指示からある程度時間をおくこと、単語の記憶課題を長時間続け、特定の単語が表示される間隔を十分にとることによって、特定の単語が表示されたら特定のキーを押す、という行為の意図は、単語記憶課題中に意識から離れ、展望的記憶の実験として適切な課題になる。

このパラダイムを用いて、加齢によって展望的記憶が低下しないということが示された。しかし、4つの単語のうちのいずれかが出現したらキーを押すように課題を変更したところ、高齢者の成績は若年者の成績より悪くなった。また10分経過したと思った時点でキーを押すという課題でも、高齢者の成績は劣っていた。しかし特定の日にはがきを投函してもらうような研究には、高齢者の成績がよいという結果も得られている。これは高齢者のほうが外的な記憶補助(カレンダーなど)を適切に用いていると考えられる。



関連記事:
作業記憶(ワーキングメモリー)と展望的記憶

テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 展望的記憶 アインシュタイン・パラダイム

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宮城県出身。寅年生まれ。おうし座。B型。左利き。赤緑色盲。たそがれのプログラマー。

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