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人工知能と脳科学

人工知能学会誌(2013年9月)に東京大学の堀浩一先生が、レクチャーシリーズ「人工知能とは」[第5回]に寄稿された。それまでに寄稿された4人の先生方との違いを強調して回答されている。

そのなかで特に気になったのは、長尾先生との違いである。長尾先生は批判を覚悟で「これからの人工知能は脳の働きを参照することによって新しい課題や方向性が見えてくるのではないか」と提言しており(「人工知能とは」参照)、それに対して堀先生は以下のように記述している。

5.1 脳科学と人工知能研究の関係は?

答え:サイエンスとしての知能の研究と脳科学は大いに関係がありますが、エンジニアリングとしての人工知能の研究にとって脳科学は必ずしも必要ではありませんし十分でもありません。


その理由として、

量子科学がいくら進歩しても天気予報の精度が高くなることはないというのと同様の関係が、現在の脳科学と人工知能の間に存在している。


と述べているが果たしてそうであろうか。
脳科学の知見は現在急速に蓄積されており、その人工知能への応用はまだ始まったばかりであり、私は量子化学と天気予報とは思えない。

また記事の別のところに以下のように記述している。

「人工衛星」をつくるときに、地球の衛星であるところの月の構造とその性質をすみからすみまで調べる必要はないし、そもそも月の真似をしようとして人工衛星をつくるわけではない。それと同様に、「人工知能」をつくるときに、知能の構造と性質をすみからすみまで知っている必要はない。我々は、人間の知能や動物の知能を参考にしつつも、それらと同じ知能をつくろうとしているのではなく、「新しい知能の世界」を構成的につくろうとしているのである。


こちらの比喩も、私は的外れに思えてならない。「新しい知能の世界」もいいが、現実の知能に挑戦するのも人工知能であると私は考える(むしろこちらが正道)。

そもそもどのような知能の実現を目標にするかによっても、方法論は異なってくるであろう。

知能を考える場合、言語のあるなしによって、実現できるレベルは格段に違いがある(人とヒト以外の生物のように)。音声認識や音声合成などではなく、言語の理解獲得とその使用可能な知能の実現をもって、はじめて人々に「人工知能」と認知されるのではないかと思う(厳しい基準かもしれないが)。

そしてこれまでの記号的AIが「積み木の世界」から未だに抜け出せないのは、「知能の構造と性質」に無関心(あるいは諦め)であったからではないだろうか。

もちろん脳と同じように人工知能をつくる必要は全くない。しかし言語の理解獲得にどのような「構造と性質」(あるいは機構)が必要かは、人工知能にしても脳科学にしても未だ全体像は判明・解明できていないのが現状であり、その判明・解明があって実現への道が開けると思う。そのためには脳科学の知見は大いに参考になるであろう。

言語とまでは言わなくとも、記憶や学習についても同じことが言えると思う。
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tag : 人工知能 知能 脳科学

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宮城県出身。寅年生まれ。おうし座。B型。左利き。赤緑色盲。たそがれのプログラマー。

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