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スパイク時間依存のシナプス可塑性(STDP)



「脳の計算論(シリーズ脳科学 1) 」
--- 第2章 ニューロンとシナプスの数学的モデル --- から

Hebbは1950年代に、そのような複雑な神経ネットワークにおける学習原理を一般的に考察し、シナプス可塑性について論理的に明快な考え方を示した。リカレントネットワークのように、あるニューロンの出力が回路内を反響して再び自分に影響するようなネットワーク(神経活動に相互関連がるようなネットワーク)では、回路の出力パターンを変化させるために、あるニューロンの出力をどのように変化させればよいかを明らかにすることは容易ではない。そこでHebbはシナプス前ニューロンの発火がシナプス後ニューロンの発火に貢献している場合、そのシナプスの荷重を強めることを提案した。この考えは今ヘブ則と呼ばれるが、弱めることも必要であった点を除けば、ヘブ則はほぼ正しいことが現在証明されている。

ヘブ学習について最近の発展を挙げるならば、シナプス学習則がスパイク時間に依存していることの発見だろう。ヘブ学習の工学的応用では、シナプス前後のニューロン活動として平均値が想定されてきたが、これはシナプス荷重の変化が、ニューロン活動の発火活動に比べてゆっくり進むと考えられてきたからである。しかし今日では、入力と出力のスパイク時間が関与するミリ秒レベルの精緻な規則が知られている。たとえば大脳皮質の興奮性ニューロン間のシナプスでは、EPSPが誘発される時間t'とシナプス後細胞が発火する時間tの差を⊿t=t-t'とすると、⊿t>0の場合にはLTPが誘導され、⊿t<0の場合にはLTDが誘導される。このようなシナプス可塑性スパイク時間依存シナプス可塑性STDP)と呼ばれ、ミリ秒レベルでのシナプス前入力とシナプス後ニューロンの出力の因果関係を、シナプス荷重と関連付けた。現在ではさまざまな脳の領域やニューロンのタイプについて、LTPLTDの強度と⊿tの関係が調べられている。


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テーマ : 自然科学
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : スパイク時間依存 シナプス可塑性 STDP ヘブ則 LTP LTD

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宮城県出身。寅年生まれ。おうし座。B型。左利き。赤緑色盲。たそがれのプログラマー。

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